【第2問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問4》~《問6》)に答えなさい。
会社員のAさん(30歳)は、将来に向けた資産形成のため、株式や投資信託によって積極的に運用したいと考えている。Aさんは、これまで預貯金以外の金融商品を利用した経験がなく、ニュース番組等で見聞きする日経平均株価などの株価指数やPERなどの投資指標について理解しておきたいと思っている。
Aさんは、X社株式(東京証券取引所市場第一部上場)を購入したいと考えているが、友人が保有している上場不動産投資信託(J-REIT)にも興味を持っている。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。X社に関する資料は、以下のとおりである。
<X社に関する資料>
総資産 | 2,000億円 |
自己資本 (純資産) |
600億円 |
当期純利益 | 45億円 |
年間配当金総額 | 18億円 |
発行済株式数 | 6,000万株 |
株価 | 1,200円 |
決算期 | 2月末 |
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問6
最後に、Mさんは、上場不動産投資信託(J-REIT)についてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、複数の不動産会社の株式を主たる投資対象とする投資信託です。不動産会社の株式を直接購入するよりも、リスクを分散することができます」
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、上場株式と同様に証券取引所を通じて取引することができます。実物不動産への投資に比べて、流動性(換金性)が高い、少額から投資ができる等の特徴があります」
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)の分配金は、不動産所得として課税の対象となります。当該金額が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告をする必要があります」
[正解] 2 (適切)
[配点] 3 (点)
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、複数の不動産会社の株式を主たる投資対象とする投資信託です。不動産会社の株式を直接購入するよりも、リスクを分散することができます」
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、上場株式と同様に証券取引所を通じて取引することができます。実物不動産への投資に比べて、流動性(換金性)が高い、少額から投資ができる等の特徴があります」
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)の分配金は、不動産所得として課税の対象となります。当該金額が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告をする必要があります」
[解説]
上場不動産投資信託は、不動産投資会社に投資し、不動産投資会社はその資金をもとに、不動産を購入する。不動産会社の株式に投資するわけではない。
[解説]
不動産を売却しようと思っても買い手が現れなければ売却できず、金額も株式等と比べて買い手が見つかれにくいが、株式と同じように取引できる上場された商品であれば換金性は高まる。
[解説]
上場不動産投資信託(J-REIT)の分配金は、株式と同様、配当所得として20.315%の源泉徴収となる。上場不動産投資信託(J-REIT)は、配当控除ができない点を除いて、株式取引と同じ扱いである。
<上場不動産投資信託(J-REIT)>
J-REITは、多くの投資家から集めた資金で、マンションやオフィスビル、商業施設など複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品である。一般的な投資信託とは異なり、証券取引所に上場している。一個人が複数の不動産を持ち、リスク分散するには多額の資金が必要となるが、J-REITは少額で不動産への分散投資ができることが利点となる。加えて、不動産投資は換金性が低いが、J-REITであれば換金性が高い(不動産を売却しようと思っても買い手が現れなければ売却できず、金額も株式等と比べて買い手が見つかれにくいが、株式と同じように取引できる上場された商品であれば換金性は高まる)。