3級FP合格へ向けて
3級FPの勉強手段は、大きく通信講座・通学講座と書籍(独学)の二つに分けられます。通信講座・通学講座の内容を見ると、3級FP講座を無料にして2級FP講座を主力としている学校が多いことから、最低でも2級FP合格を目指している人は3級と2級がセットになった通信講座で合格を目指したほうが効果的かもしれません。通信講座・通学講座も検討したい人は、次の記事も参考にしてみてください。このページでは独学で使いたい3級FP参考書・問題集をテーマに解説します。
書籍(独学)で3級FP合格を目指すために
3級の試験問題を解くとわかりますが、試験で問われている内容と比べ、書籍(参考書)の内容はかなりボリュームがあります(多すぎる)。3級FPと2級FPの出題範囲は重複している箇所が多く、2級FPの参考書・テキストを流用して制作されていると思われます。理解する上では必要な内容でも出題されない箇所に限られた時間を費やすことはできません。アウトプット(問題演習)の時間を十分に確保し、試験で出題されている箇所を中心に学習を進めていく必要があります。
ただ、3級FPの合格率を考えると、極端にバランスの悪い学習をしない限り、書籍(参考書)だけで十分合格を目指せる資格です。3級FPだけを目指している人は特に、コスト面を最優先し、参考書と問題集の計2冊で進めるのも良いでしょう。参考書と問題集の2冊であれば4,000円前後で始められます。
3級FP参考書・問題集の選び方
正直、どの参考書・問題集を選んでも合否に影響はありません。参考書・問題集の選び方よりも学習の仕方のほうが重要で、「ほとんど勉強しなかったから不合格になった」ということはあっても、「この参考書を選んだから不合格になった」ということは考えにくいでしょう。ただ個人的に重要視している点や注意点があり、ランキングを付ける要素にしていますので紹介します。
独学で合格するために必要なインプット教材
インプット教材は解説用の参考書・テキストのことです。独学で合格するためにどのようなインプット教材が良いか解説します。
市販教材そのものより、学習方法に合っているかどうかが重要
3級FPに合格するためには、インプットをなるべく早く終わらせ、問題演習に時間をかけることが重要です。市販教材を読むだけでは試験対策にはなりません。試験問題は、理解やすいように組み立てられている市販教材とは異なります。過去問を解くことで、より理解が深まったり勘違いしている点を発見できたりと得点力アップを図ることができます。市販教材の解説と過去問との違いを確認することで、試験への対応力も身に付きます。市販教材のほどんどは2級FPと同程度の内容を解説しているため、市販教材を軸に学習をすると無駄が増えてしまいます。過去問でよく出題されている内容を確認し、必要であれば市販教材に印をつけたり、メモしたりして、出題傾向を把握し、優先順位をつけて学習を進めることが大切です。このことから、次の点を重視しています。
市販教材によっては、黄色マーカー印がつけられていたり手書き風フォントが使われたりしていますが、書き込みしにくいためマイナス評価としています。ただカラフルな教材は、読んで覚える人やカラフルなほうが取り組みやすい人には向いていますので、学習スタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。
「理解」と「暗記」
インプットは大きく「理解」と「暗記」に分けることができます。「理解」をするためには解説文がなるべく多く載っている教材、「暗記」をするためには表や図、イラストを使った教材が優れていると考えています。しかし市販教材で「理解」と「暗記」を両立させるのは難しく、「理解」を重視すると解説文が多くなりすぎて「暗記」しやすい表や図まで載せることができません。そのため内容によっては「理解」部分が少なく、「よくわらかない」と感じてしまうこともあるかもしれません。ちなみに通信講座・通学講座で講義を受けた場合、「理解」は講師の講義、「暗記」はオリジナル教材がその役割を果たします。講義なみの理解度を市販教材に求めることは難しいため、ある程度は仕方ありません。「理解」が不十分だと勘違いが生まれますので、勘違いしないよう、インプットとアウトプットを繰り返し、知識を確認することを意識しましょう。それが「理解」につながります。わかりにくい解説があれば、その都度、調べることもできます。なお「理解」中心のテキストには、きんざいのテキストが該当します。
試験問題への対応・カバー率
3級FPの場合、学科は60問で、前半30問は適切かどうかの2択、後半30問は3択です。分野で分けると前半5問ずつ、後半5問ずつの10問×6分野です。実技は、資産設計(FP協会)、個人資産(きんざい)ともに3択です。わかりやすく学科だけ見ると、1分野10問しか出題されませんので、インプット教材をすべて覚えても合格だけ考えれば無駄が多くなります。そのため市販教材で学習を進める際、理解する上で重要な箇所ではなく、出題されている箇所に注目する必要があります。出題傾向は受検する実技によっても変わりますので、アウトプット(問題演習)をしながらマーカーなどでポイントを絞ると効果的です。そのためにはあまりカラフルではない市販教材でなければなりません。またカバー率ですが、どの市販教材でも合格点を取れる内容は掲載されているため、あまり気にする必要はありません。
[余談]無駄の多い市販教材
講義をする場合、出題頻度の高いポイントはごくわずかでも、理解を深めるために背景から解説します。計算式だけ紹介されても理解できないことを考えれば納得できるかと思います。試験では高額療養費制度が毎回出題されているとしても、社会保険全体や国民健康保険と健康保険の特徴など全体像も解説したほうが高額療養費制度を理解は深まるでしょう。講義では、声に抑揚をつけるなどで覚えるべきポイントを明確に伝えることができますので、直接出題されない背景を話したとしても、高額療養費制度が重要である旨は伝わります。では市販教材ではどうでしょうか。
3級FPの市販教材のほどんどは「背景・全体像」を説明しています。全体像でも赤字やマーカーなどで強調されている箇所があるため、真面目な人ほどすべて暗記しようとするでしょう。この点については理解する上で重要な解説なので、「無駄な解説」とまでは言い切れません。しかし出題頻度の高い分野の解説が充実しているのはまだ納得できますが、ほとんど出題されていない内容も同じような重要度で解説されているため、受検生にとっては区別しにくく、この点は無駄だと言えます。おそらく予算やページ数を最初に決めてから執筆するため、2級FPと同じような知識量の市販教材が生まれていると思われます。3級FPの出題傾向を踏まえると、半分のページ数でも十分なほどです。ただ人によっては理解する上で必要な解説であると感じるかもしれません。
独学で合格するために必要なアウトプット教材
アウトプット教材は問題演習用のテキストのことです。
実技の傾向に違いがある
実技は日本FP協会ときんざいで傾向に違いがあります。大ざっぱに言えば、どちらの実技でもインプット教材をしっかり理解しておけば対応可能ですが、確実に得点するためには出題傾向に合わせた演習をしておくほうが安心です。アウトプット教材は実技の種類に関係なく、よく出題される問題をピックアップして掲載していますが、偏りがないか確認しておくと良いでしょう。
新版は6月ごろ!対応年度に注意しよう
FPは試験日ごとに法令基準日が設けられています。市販教材は5月の試験後(6月中旬ごろ)に新しいものに切り替わります。内容の一つひとつに対して法令基準日の前か後かを勉強しながら気をつけるのは難しいですが、せめて古い年度のものを購入しないように注意しましょう。
3級FP参考書・問題集の選び方 まとめ
結局のところ、伝えておきたいことは、
・合格点を取るために必要な知識を優先して身につける
の2点です。時間の許す限り、興味があることは試験に関係なく深堀しても良いと思います。