3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問15】相続

【第5問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問13》~《問15》)に答えなさい。


 X県内の自宅で1人暮らしをしていたAさんは、平成30年8月10日に病気により死亡した。Aさんの夫は10年前に他界しており、Aさんの相続に係る法定相続人は長男Bさんのみである。
 長男Bさんは、故郷であるX県内には住んでおらず、東京近郊の都市に自宅を保有し、居住している。長男Bさんは、将来的にX県に戻る予定がないため、Aさんが1人で暮らしていた実家(敷地および建物)については、相続手続が終了後、売却したいと思っている。
 Aさんの親族関係図等は、以下のとおりである。

<Aさんの相続財産(相続税評価額)>
①現預金 : 4,000万円
②自宅(実家)
敷地(250㎡) : 3,500万円
建物(昭和55年築) : 500万円
③賃貸アパート(全室、賃貸中)
敷地(300㎡) : 4,000万円(「小規模宅地等についての相続税の課税価
格の計算の特例」適用前の相続税評価額)
建物 : 3,000万円
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問15

長男Bさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。

  1. 「長男Bさんが賃貸アパートの敷地を相続により取得し、貸付事業用宅地等として小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、その敷地は200㎡までの部分について80%の減額が受けられます」
  2. 「長男Bさんが相続により取得した実家の敷地および建物を一定の要件を満たしたうえで譲渡し、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けた場合、最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます」
  3. 「相続税の申告書の提出先は、Aさんの住所地を所轄する税務署ではなく、相続により財産を取得した長男Bさんの住所地を所轄する税務署となります」


[正解]  (適切)
[配点]   (点)

[解説]

  1. 「長男Bさんが賃貸アパートの敷地を相続により取得し、貸付事業用宅地等として小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、その敷地は200㎡までの部分について80%の減額が受けられます」
  2. [解説]
    貸付事業用の場合、200㎡を限度面積として50%減額される。

  3. 「長男Bさんが相続により取得した実家の敷地および建物を一定の要件を満たしたうえで譲渡し、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けた場合、最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます」
  4. [解説]
    平成28年4月1日から平成31年(2019年)12月31日までの間に、相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる。

  5. 「相続税の申告書の提出先は、Aさんの住所地を所轄する税務署ではなく、相続により財産を取得した長男Bさんの住所地を所轄する税務署となります」
  6. [解説]
    相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡における住所地の所轄税務署長である。

[要点のまとめ]

<小規模宅地等の評価減特例>
(1) 小規模宅地等の評価減特例の概要
小規模宅地等の評価減の特例には、居住用、事業用、貸付用がある。駐車場は、構築物があれば適用できるが、青空駐車場は適用外となる。
また特定居住用宅地等は適用要件が複雑だが、次の点だけはおさえておこう。
・配偶者には取得者ごとの要件はない。
・被相続人と同居していた親族なら、引き続き居住していること
・被相続人と同居していない親族なら、いわゆる「家なき子」(所有する家屋がない子)であること
被相続人と同居していない親族の取得者ごとの要件はほかにもあるが、まずは上記の内容をおさえておこう。
(2) 減額割合と限度面積
居住用80%、330㎡
事業用80% 400㎡
貸付用50% 200㎡

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問14】相続税の総額

【第5問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問13》~《問15》)に答えなさい。


 X県内の自宅で1人暮らしをしていたAさんは、平成30年8月10日に病気により死亡した。Aさんの夫は10年前に他界しており、Aさんの相続に係る法定相続人は長男Bさんのみである。
 長男Bさんは、故郷であるX県内には住んでおらず、東京近郊の都市に自宅を保有し、居住している。長男Bさんは、将来的にX県に戻る予定がないため、Aさんが1人で暮らしていた実家(敷地および建物)については、相続手続が終了後、売却したいと思っている。
 Aさんの親族関係図等は、以下のとおりである。

<Aさんの相続財産(相続税評価額)>
①現預金 : 4,000万円
②自宅(実家)
敷地(250㎡) : 3,500万円
建物(昭和55年築) : 500万円
③賃貸アパート(全室、賃貸中)
敷地(300㎡) : 4,000万円(「小規模宅地等についての相続税の課税価
格の計算の特例」適用前の相続税評価額)
建物 : 3,000万円
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問14

Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が1億円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。

  1. 1,220万円
  2. 1,600万円
  3. 2,300万円



[正解]  (適切)
[配点]   (点)

[解説]

法定相続人は長男Bさんだけなので、法定相続分は100%である。
よって、長男Bさんが1億円を受け取ったとして相続税を計算すればよい。
1億円✕30%-700万円=2,300万円

[要点のまとめ]

<相続税の計算手順>
相続税額の計算は、最初から最後まで計算させる場合もあるが、基本的には計算過程の一部が出題される。常にどの部分の計算を問われているか確認すると理解が深まるだろう。
(1) 遺産総額から非課税財産や葬儀費用を控除して各相続人の課税価格を求める。
※生命保険の非課税枠はここで適用させる。
(2) 課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除を引いて、課税遺産総額を求める。
※「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で控除額を求めるため、法定相続人を考える必要がある。
(2) 各相続人の法定相続分を求める。
(3) 各相続人が法定相続分で相続したとして各相続人の課税価格を求める。
(4) 各相続人の課税価格から相続税を算出し、合計し相続税の総額を出す。
(5) 各相続人の相続割合に応じた相続税額を算出する。
(6) 各相続人の相続税額から加算や控除があれば加味し、各人の納付額を求める。

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問13】相続

【第5問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問13》~《問15》)に答えなさい。


 X県内の自宅で1人暮らしをしていたAさんは、平成30年8月10日に病気により死亡した。Aさんの夫は10年前に他界しており、Aさんの相続に係る法定相続人は長男Bさんのみである。
 長男Bさんは、故郷であるX県内には住んでおらず、東京近郊の都市に自宅を保有し、居住している。長男Bさんは、将来的にX県に戻る予定がないため、Aさんが1人で暮らしていた実家(敷地および建物)については、相続手続が終了後、売却したいと思っている。
 Aさんの親族関係図等は、以下のとおりである。

<Aさんの相続財産(相続税評価額)>
①現預金 : 4,000万円
②自宅(実家)
敷地(250㎡) : 3,500万円
建物(昭和55年築) : 500万円
③賃貸アパート(全室、賃貸中)
敷地(300㎡) : 4,000万円(「小規模宅地等についての相続税の課税価
格の計算の特例」適用前の相続税評価額)
建物 : 3,000万円
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問13

Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

ⅰ)Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は、( ① )万円である。
ⅱ)相続税の申告書は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から( ② )カ月以内に提出しなければならない。
ⅲ)賃貸アパートを経営していたAさんが平成30年分の所得税および復興特別所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、長男Bさんは、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ③ )カ月以内に準確定申告書を提出しなければならない。

  1. ① 3,000 ② 10 ③ 3
  2. ① 3,600 ② 4 ③ 3
  3. ① 3,600 ② 10 ③ 4


[正解]  (適切)
[配点]   (点)

[解説]

ⅰ)Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は、( ① 3,600 )万円である。
ⅱ)相続税の申告書は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から( ② 10 )カ月以内に提出しなければならない。
ⅲ)賃貸アパートを経営していたAさんが平成30年分の所得税および復興特別所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、長男Bさんは、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ③  )カ月以内に準確定申告書を提出しなければならない。

①Aさんの配偶者は既に亡くなっているため、長男Bさん1人が相続人となる。よって、3,000万円+600万円✕1=3,600万円
②相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内である。
③被相続人の所得税の確定申告を準確定申告といい、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内が期限となる。

[要点のまとめ]

<相続税の計算手順>
相続税額の計算は、最初から最後まで計算させる場合もあるが、基本的には計算過程の一部が出題される。常にどの部分の計算を問われているか確認すると理解が深まるだろう。
(1) 遺産総額から非課税財産や葬儀費用を控除して各相続人の課税価格を求める。
※生命保険の非課税枠はここで適用させる。
(2) 課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除を引いて、課税遺産総額を求める。
※「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で控除額を求めるため、法定相続人を考える必要がある。
(2) 各相続人の法定相続分を求める。
(3) 各相続人が法定相続分で相続したとして各相続人の課税価格を求める。
(4) 各相続人の課税価格から相続税を算出し、合計し相続税の総額を出す。
(5) 各相続人の相続割合に応じた相続税額を算出する。
(6) 各相続人の相続税額から加算や控除があれば加味し、各人の納付額を求める。

<相続税の手続き>
(1) 相続放棄・限定承認
 相続の開始があったことを知った日の翌日から3カ月以内
(2) 準確定申告(被相続人の所得税の確定申告)
 相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内
(3) 相続税の申告
 相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問12】相続税評価額・固定資産税等

【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問10》~《問12》)に答えなさい。


Aさん(65歳)は、自身の相続対策を兼ねて、所有する甲土地(現在は駐車場)に賃貸マンションの建築を検討している。甲土地の概要は、以下のとおりである。

・指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問12

Aさんに対するアドバイスとして、次のうち最も不適切なものはどれか。

  1. 「賃貸マンションの敷地(貸家建付地)の価額は、『自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)』の算式により評価されます」
  2. 「賃貸マンションを建築することで土地に係る固定資産税が軽減されます。住戸1戸当たり330㎡までの小規模住宅用地について、課税標準となるべき価格を2分の1とする特例の適用が受けられます」
  3. 「賃貸マンションを建築することで相続税等の軽減が期待できますが、将来の賃料の低下、空室リスク、借入金の返済が滞ることのリスクなどを考慮し、実行にあたっては慎重な計画が求められます」


[正解]  (不適切)
[配点]   (点)

[解説]

  1. 「賃貸マンションの敷地(貸家建付地)の価額は、『自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)』の算式により評価されます」
  2. [解説]
    貸家建付地は、Aさんが自分の土地に建物を建ててBさんに貸した場合のAさん(貸主)の権利である。貸家建付地を評価するための算式は、自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)である。

  3. 「賃貸マンションを建築することで土地に係る固定資産税が軽減されます。住戸1戸当たり330㎡までの小規模住宅用地について、課税標準となるべき価格を2分の1とする特例の適用が受けられます」
  4. [解説]
    課税標準の特例についてである。200㎡以下の部分は「課税標準×1/6」で、200㎡超の部分は、「課税標準×1/3」となる。

  5. 「賃貸マンションを建築することで相続税等の軽減が期待できますが、将来の賃料の低下、空室リスク、借入金の返済が滞ることのリスクなどを考慮し、実行にあたっては慎重な計画が求められます」
  6. [解説]
    肢1のように、自用地で評価されるより、不動産を賃貸することで評価額を下げることができ、相続税等の軽減に期待できるが、コストや空室リスクなど不動産賃貸運営には様々なリスクがあるため、総合的に判断しなければならない。

[要点のまとめ]

<宅地の評価>

自用地 土地の所有者が自分で使用している宅地 路線価方式(又は倍率方式)で計算した評価額
借地権 Aさん(貸主)がBさん(借主)に土地を貸して建物を建てたときのBさん(借主)の権利 自用地評価額✕借地権割合
貸宅地 Aさん(貸主)がBさん(借主)に土地を貸して建物を建てたときのAさん(貸主)の権利 自用地評価額✕(1-借地権割合)
貸家建付地 Aさんが自分の土地に建物を建ててBさんに貸した場合のAさん(貸主)の権利 自用地評価額✕(1-借地権割合✕借家権割合✕賃貸割合)

<固定資産税>
(1) 地方税
(2) 毎年1月1日固定資産税課税台帳に登録されている所有者に課税
(3) 固定資産税額=課税標準×1.4%
(4) 課税標準の特例
 200㎡以下の部分:課税標準×1/6
 200㎡超の部分:課税標準×1/3
(5) 新築住宅の税額軽減特例
 新築後5年間(または3年間)、120㎡までの部分について税額が1/2になる。

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問11】延べ面積の最高限度

【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問10》~《問12》)に答えなさい。


Aさん(65歳)は、自身の相続対策を兼ねて、所有する甲土地(現在は駐車場)に賃貸マンションの建築を検討している。甲土地の概要は、以下のとおりである。

・指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問11

甲土地に賃貸マンション(耐火建築物)を建築する場合の延べ面積の上限は、次のうちどれか。

  1. 960㎡
  2. 1,080㎡
  3. 1,200㎡


[正解]  (適切)
[配点]   (点)

[解説]

前面道路の制限があるため、前面道路幅員✕乗数と指定容積率を比較する。
 6✕6/10=36/10
 360% < 400% 小さい数値を採用するので、容積率は、360%を使う。
 300㎡✕360%=1,080㎡

[要点のまとめ]

1.建ぺい率
(1) 建築面積の最高限度を求めるときに使う。
(2) 建ぺい率には緩和措置がある。
・防火地域内の耐火建築物 +10%
・特定行政庁が指定する角地 +10%
・建ぺい率80%の防火地域内で耐火建築物 100%
(3) 2地域にまたがる場合は加重平均
2.容積率
(1) 延べ面積の最高限度を求めるときに使う。
(2) 容積率には前面道路の幅員による制限がある。
・前面道路幅員✕乗数と指定容積率を比較する。
 乗数は4/10か6/10
 小さい数値が容積率となる。
(3) 2地域にまたがる場合は加重平均
3.補足
建ぺい率と容積率は用途地域ごとに決まっており、それぞれ指定建ぺい率、指定容積率という。

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問10】建築面積の最高限度

【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問10》~《問12》)に答えなさい。


Aさん(65歳)は、自身の相続対策を兼ねて、所有する甲土地(現在は駐車場)に賃貸マンションの建築を検討している。甲土地の概要は、以下のとおりである。

・指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問10

甲土地に賃貸マンション(耐火建築物)を建築する場合の建築面積の上限は、次のうちどれか。

  1. 240㎡
  2. 270㎡
  3. 300㎡


[正解]  (適切)
[配点]   (点)

[解説]

建ぺい率には緩和措置がある。
・防火地域内の耐火建築物 +10% ⇒ 該当しない
・特定行政庁が指定する角地 +10 ⇒ 該当しない
・建ぺい率80%の防火地域内で耐火建築物 100% ⇒ 該当する
指定建ぺい率80%の地域で防火地域内の耐火建築物を建てるため、100%となる。
300㎡×100%=300㎡

[要点のまとめ]

1.建ぺい率
(1) 建築面積の最高限度を求めるときに使う。
(2) 建ぺい率には緩和措置がある。
・防火地域内の耐火建築物 +10%
・特定行政庁が指定する角地 +10%
・建ぺい率80%の防火地域内で耐火建築物 100%
(3) 2地域にまたがる場合は加重平均
2.容積率
(1) 延べ面積の最高限度を求めるときに使う。
(2) 容積率には前面道路の幅員による制限がある。
・前面道路幅員✕乗数と指定容積率を比較する。
 乗数は4/10か6/10
 小さい数値が容積率となる。
(3) 2地域にまたがる場合は加重平均
3.補足
建ぺい率と容積率は用途地域ごとに決まっており、それぞれ指定建ぺい率、指定容積率という。

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問9】総所得金額

【第3問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問7》~《問9》)に答えなさい。


 Aさんは、飲食店を営む個人事業主で、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に対して提出している青色申告者である。Aさんは、過去に会社員をしていた期間があり、平成30年6月から特別支給の老齢厚生年金を受給している。
 Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。なお、金額の前の「▲」は赤字であることを表している。
<Aさんとその家族に関する資料>
Aさん (62歳) : 個人事業主(青色申告者)
妻Bさん (60歳) : Aさんが営む飲食店の事業に専ら従事し、青色事業専従者
給与(平成30年分:84万円)の支払を受けている。
<Aさんの平成30年分の収入等に関する資料>
(1) 事業所得の金額 : 350万円(青色申告特別控除後)
(2) 特別支給の老齢厚生年金の年金額 : 30万円
(3) 不動産所得 : ▲100万円(土地等の取得に係る負債の利子10万円を含む)

  • 妻Bさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
  • Aさんおよび妻Bさんは、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
  • Aさんおよび妻Bさんの年齢は、いずれも平成30年12月31日現在のものである。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問9

Aさんの平成30年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。

  1. 250万円
  2. 260万円
  3. 380万円


[正解]  (適切)
[配点]   (点)

[解説]

Aさんの収入は、事業所得、雑所得(老齢厚生年金)、不動産所得で、いずれも総合課税である。
(2) 雑所得の公的年金等控除額は、65歳未満について、130万円未満の年金額なら70万円であるため、0(ゼロ)となる。
(3) 不動産所得の損失は、土地等の取得に係る負債の利子10万円を含めないため、90万円となる。
・総所得金額は、350万円-90万円=260万円となる。

[要点のまとめ]

<総所得金額の計算>
1.総所得金額の計算のポイント
総所得金額の計算は学科でもよく出題される。総所得金額であるため、大前提として総合課税と分離課税の区別をしておかなければならない。各所得の計算方法と総合所得金額に算入する際の決まりについて理解しておく必要がある。
2.よく出る所得
(1) 不動産所得、給与所得、一時所得、事業所得、雑所得、譲渡所得(分離課税として)
(2) 遺族給付などそもそも非課税の収入がある。
3.損益通算する
(1) 総所得金額に算入する際には損益通算の知識が必要である(下記参照)。
(2) 一時所得の損失は損益通算できないため、総合課税でも算入しない場合がある。
(3) 分離課税は除外し、損益通算したあと総所得金額に算入する。
3、総所得金額への合算
(1) 一時所得は1/2する。
(2) 給与収入や年金収入は控除額を求めてから算入。

<損益通算>
1.損益通算できる所得の損失
不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の頭文字をとって、「不事山譲」。あくまでも、損益通算できる所得の損失なので、相手方は給与所得や一時所得でも構わない(勘違いしやすい)。
2.不事山譲の例外
(1) 不動産所得の損失における例外
土地の取得のために要した借入金の利子等は損益通算できない
(2) 譲渡所得の損失における例外
株式の譲渡や不動産の譲渡、生活する上で必要のない資産の譲渡による損失は損益通算できない
※例外の例外として、株式の譲渡における損失は損益通算できないが、特例により配当所得との損益通算が可能である。

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問8】所得税

【第3問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問7》~《問9》)に答えなさい。


 Aさんは、飲食店を営む個人事業主で、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に対して提出している青色申告者である。Aさんは、過去に会社員をしていた期間があり、平成30年6月から特別支給の老齢厚生年金を受給している。
 Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。なお、金額の前の「▲」は赤字であることを表している。
<Aさんとその家族に関する資料>
Aさん (62歳) : 個人事業主(青色申告者)
妻Bさん (60歳) : Aさんが営む飲食店の事業に専ら従事し、青色事業専従者
給与(平成30年分:84万円)の支払を受けている。
<Aさんの平成30年分の収入等に関する資料>
(1) 事業所得の金額 : 350万円(青色申告特別控除後)
(2) 特別支給の老齢厚生年金の年金額 : 30万円
(3) 不動産所得 : ▲100万円(土地等の取得に係る負債の利子10万円を含む)

  • 妻Bさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
  • Aさんおよび妻Bさんは、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
  • Aさんおよび妻Bさんの年齢は、いずれも平成30年12月31日現在のものである。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問8

Aさんの平成30年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 「妻Bさんの平成30年分の合計所得金額は38万円を超えないため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます」
  2. 「Aさんの場合、公的年金等の収入金額の合計額が70万円以下であるため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されません」
  3. 「不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等の取得に係る負債の利子10万円に相当する部分の金額は、Aさんの事業所得の金額と損益通算することはできません」


[正解]  (不適切)
[配点]   (点)

[解説]

  1. 「妻Bさんの平成30年分の合計所得金額は38万円を超えないため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます
  2. [解説]
    妻Bさんの平成30年分の合計所得金額は38万円を超えないため、所得基準は満たしているが、《設例》を見ると、妻Bさんは青色事業専従者であると書かれている。青色事業専従者であると配偶者控除の適用を受けることができない

  3. 「Aさんの場合、公的年金等の収入金額の合計額が70万円以下であるため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されません」
  4. [解説]
    《設例》を見ると、Aさんは62歳で65歳未満である。65歳未満の最低控除額は70万円なので、「特別支給の老齢厚生年金の年金額 : 30万円」であるAさんの雑所得はゼロとなる。

  5. 「不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等の取得に係る負債の利子10万円に相当する部分の金額は、Aさんの事業所得の金額と損益通算することはできません」
  6. [解説]
    不動産所得の損失は損益通算できるが、土地等の取得に係る負債の利子は損益通算することができない

[要点のまとめ]

公的年金等控除額

年齢 収入額 公的年金等控除額
65歳未満 130万円未満 70万円
130万円以上
410万円未満
年金額✕25%+375,000円
410万円以上
770万円未満
年金額✕15%+785,000円
770万円以上 年金額✕5%+1,555,000円
65歳以上 330万円未満 130万円
330万円以上
410万円未満
年金額✕25%+375,000円
410万円以上
770万円未満
年金額✕15%+785,000円
770万円以上 年金額✕5%+1,555,000円

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問7】青色申告

【第3問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問7》~《問9》)に答えなさい。


 Aさんは、飲食店を営む個人事業主で、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に対して提出している青色申告者である。Aさんは、過去に会社員をしていた期間があり、平成30年6月から特別支給の老齢厚生年金を受給している。
 Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。なお、金額の前の「▲」は赤字であることを表している。
<Aさんとその家族に関する資料>
Aさん (62歳) : 個人事業主(青色申告者)
妻Bさん (60歳) : Aさんが営む飲食店の事業に専ら従事し、青色事業専従者
給与(平成30年分:84万円)の支払を受けている。
<Aさんの平成30年分の収入等に関する資料>
(1) 事業所得の金額 : 350万円(青色申告特別控除後)
(2) 特別支給の老齢厚生年金の年金額 : 30万円
(3) 不動産所得 : ▲100万円(土地等の取得に係る負債の利子10万円を含む)

  • 妻Bさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
  • Aさんおよび妻Bさんは、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
  • Aさんおよび妻Bさんの年齢は、いずれも平成30年12月31日現在のものである。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問7

所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。

ⅰ)「事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができます。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高10万円となります」
ⅱ)「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ② )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について( ③ )を選択することができることなどが挙げられます」

  1. ① 55 ② 3 ③ 先入先出法
  2. ① 65 ② 3 ③ 低価法
  3. ① 65 ② 7 ③ 最終仕入原価法


[正解]  (適切)
[配点]   (点)

[解説]

①は基本的な内容なので、肢2か肢3に絞り、②より肢2を選択すればよい。③は難しい。②も少し細かい。基本的な青色申告控除については[要点のまとめ]で確認しよう。

ⅰ)「事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① 65 )万円を控除することができます。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高10万円となります」
ⅱ)「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ②  )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について( ③ 低価法 )を選択することができることなどが挙げられます」

[要点のまとめ]

<青色申告特別控除>
1.青色申告の要件
(1) 不動産所得、事業所得、山林所得がある
(2) 青色申告をする年の3月15日まで(その年の1月16日以降に事業を開始する場合は事業開始後2ヶ月以内
(3) 一定の帳簿書類を備え、7年間保存していること
<青色申告の主な特典>
1.青色申告特別控除(65万円or10万円)
65万円控除するためには、事業的規模の不動産所得(5棟10室基準)または事業所得がある場合に、正規の簿記の原則にもとづいて作成した貸借対照表と損益計算書を添付し期限内に申告しなければならない。
2.青色事業専従者給与の必要経費算入
適正額であれば、給与を必要経費とすることができる。
3.純損失の3年間の繰越控除
純損失とは、損益通算しても引ききれなかった損失である。青色申告の要件を満たせば、翌年以降3年間にわたり控除することができる。
4.純損失の繰戻還付
前年も青色申告をしていれば、前年の所得から損失を控除して、所得税の還付を受けることができる。
5.棚卸資産の評価について低価法を選択することができる。
低価法は、資産の取得原価と時価を比較して、いずれか低い方の価額を期末棚卸資産の評価額とすることができる方法である。

3級FP過去問解説(個人資産)2018年9月【問6】株式取引

【第2問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問4》~《問6》)に答えなさい。


 会社員のAさん(27歳)は、少額から始められる資産運用の方法として、「非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度(以下、当該非課税制度を『つみたてNISA』、非課税口座内に設定される累積投資勘定を『つみたてNISA勘定』という)」について関心を持つようになった。
 また、Aさんは、友人が株主優待を目当てに保有しているX社株式(東京証券取引所市場第一部)を自分も購入したいと考えているが、その前提として、PERやPBRなどの株式の投資指標について理解を深めたいと考えている。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんが購入を検討しているX社株式に関する資料は、以下のとおりである。

〈X社の財務データ〉
売上高 :3,000億円
営業利益 :110億円
経常利益 :90億円
純利益(年間) :45億円
配当金(年間) :1株当たり30円
配当金総額 :18億円
決算期 :平成31年2月28日(木)

〈X社株式の関連情報〉
PER :16.0倍
PBR :1.20倍
ROE :7.50%
配当利回り :2.50%
株式益回り :6.25%
株価 :1,200円
発行済株式数 :6,000万株

〈X社株式の株主優待〉
次回権利確定 :平成31年2月28日時点の株主名簿に記載された株主
お買物券 :100株以上500株未満 3,000円(3枚)
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問6

最後に、Mさんは、X社株式の購入についてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も不適切なものはどれか。

  1. 「X社株式の次回の配当および株主優待を受け取るためには、権利確定日である平成31年2月28日(木)の7営業日前までにX社株式を購入しておく必要があります」
  2. 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を株価1,200円で100株購入し、同年中に株価1,500円で全株売却した場合、手数料等を考慮しなければ、売却益3万円の20.315%相当額が源泉徴収等されます」
  3. 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を購入する場合、証券会社所定の売買委託手数料を負担する必要があります。手数料体系は、証券会社各社でさまざまな特徴がありますので、口座を開設する前に比較してみるとよいでしょう」


[正解]  (不適切)
[配点]   (点)

[解説]

  1. 「X社株式の次回の配当および株主優待を受け取るためには、権利確定日である平成31年2月28日(木)の7営業日前までにX社株式を購入しておく必要があります」
  2. [解説]
    株式の配当や株主優待を受けるためには、権利確定日までに受け渡しを受けなければならないが、受け渡し(決済)は株式の売買が成立した日(約定日)から、約定日を含めて4営業日目となる。2月28日に権利確定日なので、4営業日前の2月25日に購入すればよい。

  3. 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を株価1,200円で100株購入し、同年中に株価1,500円で全株売却した場合、手数料等を考慮しなければ、売却益3万円20.315%相当額が源泉徴収等されます」
  4. [解説]
    株式の売却益は、源泉徴収ありの特定口座であれば、20.315%が源泉徴収される。次に売却益は、
     1,200円✕100=120,000円・・・取得費
     1,500円✕100-120,000円=30,000円・・・売却益
    となり、正しい。

  5. 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を購入する場合、証券会社所定の売買委託手数料を負担する必要があります。手数料体系は、証券会社各社でさまざまな特徴がありますので、口座を開設する前に比較してみるとよいでしょう」
  6. [解説]
    株式を購入する際には、証券会社が決める委託手数料を支払う必要がある。

[要点のまとめ]