3級FP過去問解説(個人資産) 2019年9月 (問15) 相続・事業承継総合

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【第5問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問12》~《問15》)に答えなさい。


 Aさん(80歳)は、妻Bさん(73歳)との2人暮らしである。Aさん夫妻には、2人の子がいるが、二男Dさんは既に他界している。Aさんは、孫Gさん(22歳)および孫Hさん(20歳)に対して、相応の資産を承継させたいと考えている。



<Aさんが保有する主な財産(相続税評価額)>
 現預金            : 6,000万円
 自宅(敷地330㎡)      : 8,000万円 (注)
 自宅(建物)         : 1,000万円
 賃貸マンション(敷地400㎡)  : 1億円 (注)
 賃貸マンション(建物)    : 8,000万円
 (注)「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額

 ※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問15

Aさんの相続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 「自宅の敷地と賃貸マンションの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
  2. 「孫Gさんが相続により財産を取得した場合、孫Gさんの相続税額に100分の20に相当する金額が加算されます」
  3. 「配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合、原則として、妻Bさんが相続により取得した財産の額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか多い金額までであれば、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」


[正解] 3 (適切)
[配点] 3  (点)

[解説]

  1. 「自宅の敷地と賃貸マンションの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
  2. [解説]
    不適切である。「小規模宅地等の評価減特例」には、特定居住用宅地等、特定貸付事業用宅地等(特定貸付事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等)、貸付事業用宅地等があり、貸付事業用宅地等(減額割合50%、限度面積200㎡)が含まれていなければ、限度面積の調整をせず併用できる。特定貸付事業用宅地等は、貸付事業以外の事業用の宅地等を指す。賃貸マンションの敷地は、貸付事業用宅地等に該当するため、限度面積の調整をする必要がある。

  3. 「孫Gさんが相続により財産を取得した場合、孫Gさんの相続税額に100分の20に相当する金額が加算されます」
  4. [解説]
    不適切である。孫Gさんは、二男Dさんの代襲相続人であるため、相続税額の2割加算は適用されない。

  5. 「配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合、原則として、妻Bさんが相続により取得した財産の額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか多い金額までであれば、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」
  6. [解説]
    適切である。配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合、原則として、妻Bさんが相続により取得した財産の額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか多い金額までであれば、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されない。

[要点のまとめ]
相続財産の評価

    目次

  1. 宅地の評価
  2. 小規模宅地等の評価減特例
  3. 家屋の評価
  4. 株式等の相続税評価
  5. そのほかの相続財産の評価

1 宅地の評価

基礎知識
路線価方式は、宅地が面する道路ごとに評価されており、1㎥あたりの価額が表記されている。
(例) 300C
意味:「300」:300千円/㎥ 「C」:借地権割合 70%
借地権割合はAからGまであり、10%間隔でAは90%、Gは30%となる。

自用地路線価方式(または倍率方式)で計算した評価額
土地の所有者が自分で使用している宅地
借地権自用地評価額 × 借地権割合
Aさん(貸主)がBさん(借主)に土地を貸して建物を建てたときのBさん(借主)の権利
貸宅地自用地評価額 × ( 1 – 借地権割合)
Aさん(貸主)がBさん(借主)に土地を貸して建物を建てたときのAさん(貸主)の権利
貸家建付地自用地評価額 × ( 1 – 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
Aさんが自分の土地に建物を建ててBさんに貸した場合のAさん(貸主)の権利

2 小規模宅地等の評価減特例

1. 小規模宅地等の評価減特例の概要
小規模宅地等の評価減の特例には、居住用、事業用、貸付用がある。駐車場は、構築物があれば適用できるが、青空駐車場は適用外となる。また特定居住用宅地等のおもな適用要件は次のとおりである。
基礎知識配偶者には取得者ごとの要件はない。
・被相続人と同居していた親族なら、引き続き居住していること
・被相続人と同居していない親族なら、いわゆる「家なき子」(所有する家屋がない子)であること
※被相続人と同居していない親族の取得者ごとの要件はほかにもある。

2. 減額割合と限度面積

利用区分限度面積減額割合
居住用特定居住用宅地等330㎡80%
事業用貸付事業用宅地等貸付事業用宅地等200㎡50%
特定同族会社事業用宅地等400㎡80%
特定貸付事業用宅地等

3. 小規模宅地等の評価減特例の併用
個人資産「小規模宅地等の評価減特例」には、特定居住用宅地等、特定貸付事業用宅地等(特定貸付事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等)、貸付事業用宅地等があり、貸付事業用宅地等(減額割合50%、限度面積200㎡)が含まれていなければ、限度面積の調整をせず併用できる。なお特定貸付事業用宅地等は、貸付事業以外の事業用の宅地等を指す。
特定居住用宅地等330㎡ + 特定貸付事業用宅地等400㎡ = 730㎡
貸付事業用宅地等(減額割合50%、限度面積200㎡)が含まれている場合は、調整が行われる。

3 家屋の評価

1. 家屋の相続税評価額
・自用家屋 固定資産税評価額 × 1.0
・貸家   自用家屋としての評価額(固定資産税評価額) × ( 1 – 借家権割合 × 賃貸割合)
・建設中の家屋 課税時期までの建設費用現価 × 70%

4 株式等の相続税評価

1. 上場株式の評価
基礎知識
上場株式の評価は、次の(1)~(4)の最も低い値である。
(1) 課税時期(相続開始時)の終値
(2) 課税時期の属する月の「毎日」の終値の平均
(3) 課税時期の属する月の「前月の毎日」の終値の平均
(4) 課税時期の属する月の「前々月の毎日」の終値の平均

2. 取引相場のない株式の評価
評価方法は大きく原則的評価方法と特例的評価方法に分けられる。原則評価方法には、類似業種比準方式、純資産価額方式、併用方式があり、特例的評価方法として、配当還元方式がある。どの方式で算定するかは、会社の規模と同族株主かどうかで判断する。

5 そのほかの相続財産の評価

1. 生命保険契約に関する権利
相続開始時に、まだ保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始時にその契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額によって評価される。

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