3級FP過去問解説(個人資産) 2020年9月 (問12) 不動産の有効活用

【第3問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問10》~《問12》)に答えなさい。


 Aさん(61歳)は、3年前に父親の相続によりM市内にある甲土地を取得している。甲土地は父親の存命中から月極駐車場として賃貸しているが、その収益率は低い。
 Aさんは、先日、友人でもある地元の不動産会社の社長から「甲土地は最寄駅から近いため、大手ドラッグストアのX社が新規店舗の出店を考えている。X社は建設協力金方式を望んでいるが、契約形態は事業用定期借地権方式でもよいと言っている」との提案を受けた。Aさんは、甲土地の有効活用について、前向きに検討したいと思っている。


  • 甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
  • 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
  • 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問12

事業用定期借地権方式に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 「事業用定期借地権方式とは、X社が甲土地を契約で一定期間賃借し、X社が建物を建設する手法です。土地を手放さずに安定した地代収入を得ることができること、期間満了後は土地が更地となって返還される点などがメリットとして挙げられます」
  2. 「事業用定期借地権方式により、Aさんが甲土地をX社に賃貸した後にAさんの相続が開始した場合、相続税の課税価格の計算上、甲土地は自用地として評価されますので、相続税額の軽減効果はありません」
  3. 「事業用定期借地権等は、存続期間が10年以上30年未満の事業用借地権と30年以上50年未満の事業用定期借地権に区別されます。設定契約は、公正証書により作成しなければなりません」


[正解] 2 (不適切)
[配点] 3  (点)

[解説]

  1. 「事業用定期借地権方式とは、X社が甲土地を契約で一定期間賃借し、X社が建物を建設する手法です。土地を手放さずに安定した地代収入を得ることができること、期間満了後は土地が更地となって返還される点などがメリットとして挙げられます」
  2. [解説]
    Aさんが甲土地をX社に一定期間貸すため、定期借地権に該当する。Aさんは土地を貸すだけで、建築費など以降の運用はX社が行い、期間満了後は原則として更地で返される。

  3. 「事業用定期借地権方式により、Aさんが甲土地をX社に賃貸した後にAさんの相続が開始した場合、相続税の課税価格の計算上、甲土地は自用地として評価されますので、相続税額の軽減効果はありません」
  4. [解説]
    甲土地は貸し出されているため、借地権「自用地評価額 × 借地権割合」で評価される。そのため、一定の相続税節税効果が見込まれる。

  5. 「事業用定期借地権等は、存続期間が10年以上30年未満の事業用借地権と30年以上50年未満の事業用定期借地権に区別されます。設定契約は、公正証書により作成しなければなりません」
  6. [解説]
    契約の存続期間は、「10年以上30年未満」か「30年以上50年未満」のいずれかとなり、契約方法は公正証書に限られる。

[要点のまとめ]
不動産の有効活用

1 不動産の投資判断手法

1. 純利回り(NOI利回り)
純利回り(NOI利回り)は、実質利回りや総投下資本純収益利回りと呼ばれ、年間の総収入から諸費用を引いた額を総投資額で除して算出する。

2. IRR法(内部収益率法)
IRR法(内部収益率法)は、投資期間中に受け取れる年度ごとの収益を現在価値に戻した合計と投資額が等しくなる割引率(内部収益率)を求め、内部収益率と期待収益率を比較する方法である。

3. NPV法(正味現在価値法)
NPV法(正味現在価値法)は、投資不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額の現在価値の合計額を上回っている場合に有利と判定できる。

4. レバレッジ効果
レバレッジ効果とは、少ない資金で大きな収益を得られることである。対象不動産の収益率が借入利子率を上回っていれば、賃料の一部を返済に回すことができ、自己資金をおさえることができる。
(例)
(1) 自己資金1,000万円のみで年間100万円の収益
※収益率 = 100 / 1,000 × 100 = 10%
(2) 自己資金1,000万円と借入金2,000万円で年間300万円の収益
※300 / 3,000 × 100 = 10%
いずれの場合も収益率は10%である。

次に、(2)の場合で年間60万円の利息を支払うと300万円 – 60万円 = 240万円
(1)は受取額100万円、(2)は受取額240万円だが、自己資金の回収を考えると、(1)は10年かかるが、(2)は4年強で済む。
また自己資金に対する収益率を考えると、(1)は10%だが、(2)は24%となる。
※(2) 240 / 1,000 × 100 = 24%
ただし、対象不動産の収益率が借入利子率を下回る逆レバレッジの場合、借入金をした方が不利となるため注意が必要である。

2 土地の活用方法

(1) 等価交換方式
 所有する土地を譲渡して、デベロッパーがその土地に店舗を建てる。土地の価格と建築費用の割合で持分を決める。すでに所有している土地を使うので、建築資金は不要である。
(2) 事業受託方式
 土地の活用方法をデベロッパーに相談し、企画から運営管理まで一括管理してもらう方式。土地は手放さないが、資金が必要である。
(3) 定期借地権方式
 土地に借地権を設定して貸し出す方法。土地の譲渡や建設資金は不要である。
(4) 建設協力金方式
 テナント企業等から建設協力金として資金を得て、所有する土地に商業用店舗を建設する。建設協力金の額により土地所有者の自己負担額は異なるが、土地の譲渡はない。

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