3級FP過去問解説(個人資産) 2021年5月 (問12) 不動産の有効活用

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【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問10》~《問12》)に答えなさい。


 会社員のAさん(60歳)の母親は、2021年1月22日に死亡した。母親が所有していたM市内の不動産のうち、自宅(Aさんの実家)および自宅に隣接する賃貸アパートを母親と同居していたAさんの兄が取得し、Aさんは月極駐車場として活用している甲土地を取得した。遺産分割協議は円滑に行われ、相続税の申告および納税は完了している。
 先日、Aさんは、友人の不動産会社の社長から「ドラッグストアを展開するX社からM市内で駐車場を確保できる甲土地に出店したいと頼まれている。また、地元のマンション開発業者Y社からは、住宅エリアとしても人気のある甲土地での等価交換方式によるマンション建設の提案を受けている。そのほかの可能性を含め、甲土地の有効活用を検討してみないか」とアドバイスされた。


・甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
・指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問12

甲土地の有効活用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 「等価交換方式により、マンションを建築する手法が考えられます。Aさんとしては、自己資金を使わず、マンション住戸を取得することができます」
  2. 「事業用定期借地権方式により、甲土地を一定期間賃貸する手法が考えられます。甲土地を手放さず、安定した地代収入を得ることができます」
  3. 「建設協力金方式により、甲土地上に建築した店舗をテナントに貸し出す手法が考えられます。契約期間満了後、借主であるテナントが建物を撤去し、甲土地は更地で返還されます」


[正解] 3 (不適切)
[配点] 3  (点)

[解説]

  1. 「等価交換方式により、マンションを建築する手法が考えられます。Aさんとしては、自己資金を使わず、マンション住戸を取得することができます」
  2. [解説]
    等価交換方式は、所有する土地を譲渡して、デベロッパーがその土地に店舗を建てる。土地の価格と建築費用の割合で持分を決める。すでに所有している土地を使うので、建築資金は不要である。

  3. 「事業用定期借地権方式により、甲土地を一定期間賃貸する手法が考えられます。甲土地を手放さず、安定した地代収入を得ることができます」
  4. [解説]
    定期借地権方式は、土地に借地権を設定して貸し出す方法。土地の譲渡や建設資金は不要である。

  5. 「建設協力金方式により、甲土地上に建築した店舗をテナントに貸し出す手法が考えられます。契約期間満了後、借主であるテナントが建物を撤去し、甲土地は更地で返還されます」
  6. [解説]
    建設協力金方式は、テナント企業等から建設協力金として資金を得て、所有する土地に商業用店舗を建設する。建設協力金の額により土地所有者の自己負担額は異なるが、土地の譲渡はない。契約期間満了後、テナントが撤退したあとはほかのテナントに建物を貸し出すことができる。

[要点のまとめ]
不動産の有効活用

    目次

  1. 不動産の投資判断手法
  2. 土地の活用方法

1 不動産の投資判断手法

1. 純利回り(NOI利回り)
純利回り(NOI利回り)は、実質利回りや総投下資本純収益利回りと呼ばれ、年間の総収入から諸費用を引いた額を総投資額で除して算出する。

2. IRR法(内部収益率法)
IRR法(内部収益率法)は、投資期間中に受け取れる年度ごとの収益を現在価値に戻した合計と投資額が等しくなる割引率(内部収益率)を求め、内部収益率と期待収益率を比較する方法である。

3. NPV法(正味現在価値法)
NPV法(正味現在価値法)は、投資不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額の現在価値の合計額を上回っている場合に有利と判定できる。

4. レバレッジ効果
レバレッジ効果とは、少ない資金で大きな収益を得られることである。対象不動産の収益率が借入利子率を上回っていれば、賃料の一部を返済に回すことができ、自己資金をおさえることができる。
(例)
(1) 自己資金1,000万円のみで年間100万円の収益
※収益率 = 100 / 1,000 × 100 = 10%
(2) 自己資金1,000万円と借入金2,000万円で年間300万円の収益
※300 / 3,000 × 100 = 10%
いずれの場合も収益率は10%である。

次に、(2)の場合で年間60万円の利息を支払うと300万円 – 60万円 = 240万円
(1)は受取額100万円、(2)は受取額240万円だが、自己資金の回収を考えると、(1)は10年かかるが、(2)は4年強で済む。
また自己資金に対する収益率を考えると、(1)は10%だが、(2)は24%となる。
※(2) 240 / 1,000 × 100 = 24%
ただし、対象不動産の収益率が借入利子率を下回る逆レバレッジの場合、借入金をした方が不利となるため注意が必要である。

2 土地の活用方法

(1) 等価交換方式
 所有する土地を譲渡して、デベロッパーがその土地に店舗を建てる。土地の価格と建築費用の割合で持分を決める。すでに所有している土地を使うので、建築資金は不要である。
(2) 事業受託方式
 土地の活用方法をデベロッパーに相談し、企画から運営管理まで一括管理してもらう方式。土地は手放さないが、資金が必要である。
(3) 定期借地権方式
 土地に借地権を設定して貸し出す方法。土地の譲渡や建設資金は不要である。
(4) 建設協力金方式
 テナント企業等から建設協力金として資金を得て、所有する土地に商業用店舗を建設する。建設協力金の額により土地所有者の自己負担額は異なるが、土地の譲渡はない。

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